絵本は子どもが成長する上でとても大切な役割を担ってくれています。
絵本から学ぶこと、感じることがたくさんあります。
また、寝る前の数分の時間だけでも、絵本の読み聞かせが大人と子どもを繋ぐコミュニケーション手段になっています。
今日はそんな絵本を読む時のポイントを紹介せていきたいと思います。
膝の上に乗せて読むときなど、状況によって読み方が変わってくると思いますが、参考にしてみてください。
保育士を目指している方、実習を控えている方はぜひ実践してみてください!
絵本に向き合う
絵本の表紙を見せる
表紙は”新しい物語が始まる”と言うゼロ地点です。
一度読んだ本をまた読むときも「また同じ物語を読む」のではなく、「今日はどんな物語と出会うかな」と言うまっさらな旅への期待を、読む人と聴く人のあいだで味わえるのが、絵本の魅力のひとつです。
表紙を見るとそこから想像してワクワクします。
何度同じ絵本を読んでも毎回違う発見がありますよね。
なので、絵本を読む前、読み終わった後に表紙をしっかり見せることが大切です。
絵本の時間に入っていく
保育園では絵本を読む前に手あそびをすることが多いです。
家ではあまりやらないと思うのですが、大勢の子どもを惹きつけるためには欠かせないものとなっています。
その時にはただ好きな手あそびをするのではなく、なんのための手あそびかを考えてください。
絵本にスッと入っていくためには、絵本の内容と結びついた手あそびにすると効果的です。
例えば「おべんとうバス」を読む前には「おべんとうのうた」の手あそび、
「ねないこだれだ」を読む前には「いっぴきおばけ」の手あそびをする
など、登場人物や物語の内容に合わせた手あそびを探してみましょう。
いくつかのジャンルでレパートリーを持っていると、子どもが「これ読んで」と言ってきた時にも対応できるのでスムーズですね。
おべんとうバス
作・絵:真珠まりこ/ひさかたチャイルド
「なねいこだれだ」
作・絵:せなけいこ/福音館書店
もちろん、従来ある手あそびを絵本のストーリーに合うようにアレンジしても良し!
例えば「3びきのかわいいおおかみ」という、あの童話のお話しの狼と豚を入れ替えたパロディ絵本があるのですが、「3びきのこぶた」の手あそびをおおかみバージョンにしてやってみるのも良いかもしれません。
手あそびに決まった正解はないので、自分流にどんどんアレンジしていきましょう。
「3びきのかわいいおおかみ」
作:ユージーン・トリビザス/絵:ヘレン・オクセンバリー/訳:こだまともこ/冨山房
あなたの声で読む
聞き手は「じょうずな読み手」を求めているのではなく、「自分を作品の世界へ誘ってくれる声」を待っています。
相手を愛おしいと思う気持ちを、絵本を読みながら育てていくのです。
読み方についていくつかポイントがあるので紹介していきます。
絵本を読むときの基本
絵本がよく見えて、その場にいる誰もがスッと絵本の世界に入っていけるようにしましょう。
・髪の毛が絵本にかからないように束ねる
・前かがみにならず、姿勢を良くする
・派手なネイルや服装は聞き手の集中力を妨害する可能性があります
シンプルなものが好ましいですが、絵本にちなんだ柄などは導入として良いと思います
・他の本はなるべく目に入らないようにする
1冊ずつ出すか、関連する絵本なら飾っておくのも良いです
絵本を読む前の準備
特に読み聞かせに慣れていない人は準備やシミュレーションをしっかりしておきましょう。
・絵本カバーや帯は読む際に邪魔になるので外しておく
・1ページずつ開いていき、開きぐせをつけておく
・下読みをする
急に「読んで」と言われ下読みができない時は、読めるか判断して子どもにも上手く読めないかもしれないけど応援してねと伝えておく
絵本の持ち方
とにかく見やすいように意識して読みましょう。
・親指1本か親指と人差し指2本で裏側を支え、絵本がぐらつかないように、よく見える持ち方で持つ
・必要に応じて手の位置をずらすなど、絵が隠れないように注意する
・絵本の開き方に合わせて、右手でも左手でもどちらでも読めるように練習しておく
絵本のめくり方
めくる手の使い方次第で作品の世界が十分に引き立ったり、その世界が半減します。
鏡の前で練習すると良いでしょう。
・作品によってめくる早さや間を変える
・子どもの様子によって変えることも大事
(子どもが食い入るように見ている時は流れを止めないようにテンポ良くめくるなど)
読み終わったら
”読み終わったら終わり”ではありません。
・表紙を見せ、作者名を読む
小さい子には作者名などは不要ですが、表紙を見せて「今日はこんな絵本読んだね」と話すと良いと思います
年齢が上がれば作者名も伝え、そういったことの大切さを伝えていきます
読み聞かせの環境づくり
絵本の世界に入っていくためには環境が大切です。
・光や照明の反射によってページが光ってしまわないか注意する
・読み手の背後の壁や、子どもたちが座る敷物や椅子はなるべくシンプルなものが好ましい
絵本の種類を知る
絵本の種類を知っておくと、状況に合わせた絵本選びがしやすくなります。
ペーパーバック
表紙がソフトカバーで薄い絵本のことです。値段がお手頃で保育園の定期購読絵本でよく見かけます。
手に取りやすい形で、作品世界と読者との距離の近さが特徴です。
乱暴に扱うと曲がってしまうので小さい子どもには扱いにくいかもしれませんが、読んでいるうちに本を丁寧に扱うことの大切さを学んでいけます。
ハードカバー
よく見る一般的な形の絵本です。
ハードカバーは物語の最後を予感させる枠組みであり、本としての体裁が強調されるため「本の中で起こる出来事」と言う意識が強いです。
表紙、裏表紙、見返し、内表紙…と物語に入っていく過程を楽しめます。
大型絵本・小型絵本
大型・小型にも良し悪しがあります。
大型絵本は大勢の前で読むには見やすくて良いのですが、近くで見ると一度に視界に収められなかったり、絵によっては印象を変えてしまう可能性もあります。
小型絵本は持ち運びに便利で、子どもが手にしやすく出先などで活躍しますが、仕掛け絵本だとせっかくの仕掛けが上手く活用できなかったり読みにくい場合があります。
(はらぺこあおむしの穴に指が入らないなど)
「はらぺこあおむし」
作:エリック・カール/訳:もりひさし/偕成社
まとめ
いかがでしたが?
いくつか紹介しましたが、どれも「聞き手」のことを思いやる気持ちがあれば自然と身に付くことだと思います。
(慣れるまでは練習が必要になりますが…)
絵本を読むときの基本について、なんとなく知っていた人も、もう一度意識して読み聞かせを行なってみてください。
子どもたちがたくさんの物語に出会えますように。
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